FITご夫婦との会話「男系男子は差別？」

先日、FITのご夫婦を都内にご案内しました。日本の歴史や皇室に興味が深く「2000年以上にわたって王家が続いているのでしょう？争いはなかったの？」と聞かれました。「皇族の間で皇位継承の争いは幾度もありました。それでも皇位継承権は男系男子のみにあるという原則は初代の神武天皇から今上天皇まで皇紀で2684年続いています」とお答えしました。

次の質問は「今上天皇に息子がいるの？」でした。「子供は愛子内親王のみで、女性ですので次の天皇にはなりません」と答えると、奥様が「女性差別じゃないの？」と不満げな表情に。「愛子内親王が次期天皇になると男系女子となり、2600年以上続いている皇統が途絶えます。また男系男子は「男性に対する差別」の一面があります。というのは、一般国民の女性は皇后になり皇族になれますが、一般国民の男性は皇族になれません。そもそも皇室の祖先神は天照大神で女神ですから、男女差別とは無関係だと理解されています」とお伝えしました。すると「外から新たな血統を入れると、新たな争いの元となるから、男系男子は論理的だ」と夫婦で結論されていました。

「過去に女性天皇が存在していたのだから愛子内親王に皇位継承権がないのは差別だ」という人がいます。「女性天皇」と「女系天皇」の違いすら理解していない未熟な意見だと思います。私たち通訳ガイドの仕事は第一に正しい知識に基づいた正しい情報を訪日外国人に伝えることにあります。もし個人的な見解を求められたら「私見ですが」と断りを入れて話すことが大事で、その私見も正しい知識と偏りのない情報に基づいたものでなければなりませんので常に勉強が必要です。