都内でお花見(ガイド体験記)

4月7日にアメリカ人ご家族を東京の花見の名所三か所(千鳥ヶ淵、新宿御苑、目黒川)に案内しました。どこも満開で感激して頂けたので、ガイドの甲斐がありました。

■ お客様
カリフォルニア州のサンタローザから初来日した両親(40代のトムとスーザン:仮名)と双子姉妹(16)の4人家族です。全員日本文化に興味があり、日本に行くのだったら桜の時期にしようと4月1~4日に大阪と京都、5~9日に東京、10日帰国という日程にしたそうです。

■ 事前のお客様(スーザン夫人)とのやりとり
普通は予約後、お客様とガイド間でメールを数回やりとりし、日程など重要事項を相互確認しますが、今回は20回を超えました。

お客様:1/23 都内花見ツアーの予約あり。(大人2子供2、US、ホテル名なし)
ガイド:1/23 予約のお礼、概要説明、ホテルの場所を質問。
ガイド:2/5 (回答が来ないので)再質問。
お客様:2/5  六本木にあるGホテルと皇居近くのPホテルを仮予約。家族で過ごすには場所的にどちらがいいか、回転寿司店に行きたいが可能か。
ガイド:2/6 ホテルの場所の特徴と回転寿司を旅程に組み込む旨を回答。
(2月下旬に渋谷の回転寿司を3件下見)
お客様:3/10 Gホテルに決めた。目黒川の桜も見たい。
ガイド:3/11 Itinerary(六本木→皇居東御苑→渋谷(回転寿司)→新宿御苑→目黒川)を提示。
お客様:3/11 Itineraryを気に入った。4/5に大阪から東京に移動し、4/6は草間弥生ミュージアムと「うどん」料理教室の予定。花見ツアーが楽しみ。
ガイド:3/12 回答に感謝。花見を楽しみにしてください。
(3月下旬に目黒川の花見コースを下見)
お客様:3/26 トムが急に腎臓結石の除去手術をしたが快復、予定どおり旅行に行く。
ガイド:3/27 トムのために歩く距離を短くすることを回答。
ガイド:4/5 ツアー2日前の確認通知(東御苑を千鳥ヶ淵へ変更)

■ 当日のガイドの概要
朝から快晴の日曜日、絶好の花見日和になりました。
(1) ホテルでの対面
9:30 お客様とミート。スーザンはすらりとした美人、双子の姉妹もプリティ。トムは映画ナイトミュージアムの主人公にそっくりの好紳士、体調はいいようです。お互いの自己紹介後、地元の野球帽をプレゼントしてくれました。私もハンカチ4枚をプレゼント。用意しておいて良かったです。駅に向かう途中、トムに「美人に囲まれて毎日幸せですね」と言うとニコニコして握手してくれました。地下鉄は座れなかったのですが、さらに打ち解けるため、自作資料を見せながら日本語の挨拶を紹介。「おはよう」はOhio州、「ありがとう」はalligatorと覚えてみようと言うと、みんな面白がって挨拶の練習を始め、あっという間に九段下駅に着きました。

(2) 千鳥ヶ淵
九段下駅の階段やエスカレーターは混雑していて4人とも困惑顔でしたが、地上に出て満開の桜を見るや微笑みに変わりました。花見客の6,7割は外国人でした。お堀沿いの歩道を100m程上って左に曲がり千鳥ヶ淵公園に案内して行きましたが、写真を撮りまくっていたので時間がかかりました。数十年ものの桜の並木とお堀のボート、対岸に垂れ下がった桜の景色にみんな見とれていました。ツアーは幸先よく始まりました。皇居周辺の案内板を示しながら、皇居の大きさ、宮殿の位置、江戸城や大奥などを説明。都合よく空いていたベンチにトムを座らせて染井吉野など桜の種類や特徴を説明しました。

(3) 渋谷
渋谷駅を出て回転寿司店へ行く途中、電気店を子供たちが発見。カメラのバッテリーがおかしいので買いたいと立ち寄ったのですが、米国より安く手に入るものが沢山並んでいるので、家族全員でショッピングを開始。結局、20分程でスマホのアクセサリー等を購入しました。回転寿司店に着いたのは12:00で満席。待ち時間30分というので、あきらめ、デパ地下で弁当を買って桜を見ながら食べるのはどうかと提案しました。それはgood ideaと賛成してくれ、色とりどりの弁当やサラダを選び、新宿御苑に向かいました。

(4) 新宿御苑
13時過ぎに千駄ヶ谷駅から新宿御苑に行くと、広々とした苑内のあちこちに満開の桜があり、座って花見をしている人が大勢いました。私が持ってきたビニールシートを広げると、「これが本当の花見だね」と喜んでくれました。弁当を食べていると、隣の家族の女児が近寄ってきて「ハロー」と英語で話しかけてきました。トムが英語で歳を聞くと3と指で答えたので、みんな英語ができることに感激。食後、折紙で兜と金魚を折って見せたところ、姉妹はOrigamiを知っていて私に続いて折り、出来上がると歓声をあげました。トムは疲れてシートに寝転がり上の桜を見て「これが最高の花見だ」と言っていました。この後、トムは単独ホテルへ帰還しました。

(5) 目黒川
中目黒駅のホームは地上2階にあり、ホームの端から桜祭りの様子が見えるのでそこに案内しました。川の両側の道に提灯が飾ってある桜並木が満開でした。圧倒されたのは人の多さ。体調が今一のトムを連れてこなくて良かったです。川沿いの歩道は桜のトンネルできれいですが、混雑のため100m程の行き帰りに30分もかかってしまいました。それでも女性3人は露店の珍しい食べものを見たり、写真を撮ったりして楽しんでいました。下見の時にコーヒー店や甘未処を確認し、そこで休もうと考えていましたが、そんな余裕はありませんでした。目黒川を最終目的地にしたことは正解でした。
この喧噪を3人はどのように思ったのか聞いたところ、ゴミが少ない、笑っている人が多く怖くなかった、日本人がどのように花見を楽しむのか分かった、など、ポジティブな感想でした。

■ 最後に

六本木駅でガイドは終了しました。別れ際、3人は(ハグではなく)握手してくれ、「今日の花見は最高、本当にありがとう。」と温かい言葉をかけてくれました。またスーザンの名刺を頂きました。それを後で見てびっくり、彼女は有名大卒の皮膚科医でした。ツアー中、全く普通のよき母よき妻のようにふるまっていたのです。
今回、一番楽しんだのはガイドかもしれません。

Eddy Murayama (eddy.murayama@i3ws.co.jp)

Eddy Murayama

世界の人々を楽しくおもてなし

お客様の大半は初めて日本に来る人達で、ガイドに様々な期待を抱いています。このため単なる観光地の説明ではなく、日本文化の魅力や生活習慣なども楽しく紹介するように心がけています。

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