初めて外国語に触れたのは、父親の海外赴任に同行し、台湾で生活するようになった約50年前でした。
物心がつくかつかない頃から触れてきた中国語は、現地で生活する上で不可欠なものであったため、会話の実践が中心ではありましたが、日本人学校では中国語の授業がありました。
約7年の滞在を終え、小学校6年生の時に帰国しました。子供向けの英会話スクールすら存在しておらず、中国のプレゼンスが現在ほど高くもなく、さらに、インターネットで世界と繋がるようなことを想像すらできなかった時代でした。
中国語会話の実践の機会もないどころか、帰国子女であることによるイジメを警戒しなければならず、中国語を学び続けたいという意欲はまるで持ち合わせていませんでした。
大学生になり、馴染みのある中国語ではなく、何となくカッコ良いイメージをもっていて憧れだけで選択した第二外国語が、私の語学との関わりを決定的に変えました。
英語より発音だけは簡単でしたが、名詞の3種類の性や冠詞、格変化など複雑極まりないドイツ語の文法に圧倒され、卒業するのに必須の単位を揃えることだけが学習の目的になりました。ひたすら修行を積んでいるように感じた3年間でした…(涙)。
そのような低いモチベーションで得られるものなど限られています。挨拶と数の数え方、断片的な単語と文法知識だけが、卒業後約30年が経過し、現在なお記憶に残っているドイツ語です。
外国語を学ぶことに嫌気が差し、英語の学習にも消極的になりました。英語は両親が話せる言語だったため、できなければならないものとして、小学生の頃から自分自身にプレッシャーをかけていたため、そもそも楽しく取組む類のものではありませんでした。
そのような中、卒業旅行でイタリア、モロッコ、スペインを訪れました。アジアにはそれまで何度も旅行していましたが、初めてのヨーロッパ+マグレブでした。
イタリアやスペインのもつ豊かな歴史や文化に憧れがあったのは確かですが、無意識にドイツを避けていたかもしれません(苦笑)。
3つの国のうち、今や懐かしいモロッコでの過酷な滞在の日々(笑)に終わりを告げ、ジブラルタル海峡をフェリーで渡った先にあったスペインは、私の眼には本当に魅力的に映りました。世界遺産、フラメンコ、ピカソの絵画、パエリア…。
当時は片言の挨拶しかできませんでしたが、再びこの地を踏む日にはスペイン語を話せるようになっていたいと願うようになりました。英会話スクールに通ったことのない人間が、スペイン語を学ぶために週末の語学学校に2年間通学しました。
注)その後、スペイン語のサッカー中継やラテン音楽を楽しんだり、スペイン語ネイティブYouTubeチャンネルを視聴したり、スポーツ新聞のネット記事を読んだりしてきました。最近、アマゾンでスペイン語に関する本を購入し、本格的な学び直しを決意しました。
受験や単位のような義務的なものではなく、ただ自分の人生を豊かにしたい…。会社員であり、米国公認会計士試験の受験準備もしていたため、毎週末拘束されることをきつく感じることがなかったと言えば嘘になりますが、楽しく学習できた2年間でした。
スペインには観光だけでなく商用目的も含め、これまで17~18回訪れています。現地で英語を使わずにコミュニケーションを取れた時の喜びは格別です。
ところが、何の因果か(笑)、十数年前にベルリンで働く機会を得ました。ドイツ語とどう向き合うべきか悩みましたが、職場の公用語が英語でしたし、英語が通じないシーンは極めて限られていたため、ドイツ語を学び直すことはありませんでした…(涙)。
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