
私が動画制作についてブログをアップするようになったのが2021年3月からでした。本日は2022年3月6日ですから一年前になります。今回は iTWS japan のインスタグラムにアップした「鎌倉報国寺」の1分動画を例にとり、実際にどのようにプロジェクトを制作しているかを振り返ってみます。動画は作り手の個性と嗜好が現れたものですので、この動画に対する好き嫌いも様々でしょう。動画をどう作るかに正解はないと思いますが、皆さんの動画作成の参考になれば幸いです。また私の動画作成における全体の流れをリスト化してこのブログの末尾に載せます。
インスタグラムに投稿した動画
「鎌倉報国寺」の1分プロジェクトは4Kで撮影・編集しましたが、そのまま書き出すと約0.5GBになります。インスタグラムの場合は重いファイルはスマホでうまく再生できないので、解像度を2Kに落として約171MBのファイルを投稿しました。
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鎌倉報国寺をどう動画にする?
今回の素材は竹寺として有名な鎌倉報国寺です。「グリーン・ミシュラン」にも認定されていますね。報国寺は孟宗竹の庭に加えて、境内の様々な樹木と苔、茅葺の鐘楼、枯山水の庭(すぐ横が池ですが・・・)、「やぐら」(横穴式の納骨窟)など見どころが沢山あります。抹茶を楽しめる庵もあります。私は「私の住む横浜近辺でぜひガイドしたいところ」をテーマに動画を作成していますが、報国寺では「竹と光」にフォーカスして動画を作りたいと考えました。ストーリーは「報国寺の山門~本堂から竹の庭に入り、光に溢れる竹林を歩き石仏や灯籠との情景をシンプルに紹介する」としました。ストーリーの中心となる竹林と石仏と灯籠の情景は私自身が報国寺の一番の魅力だと思っているポイントです。
動画に採用したクリップはいくつ?
考え出したストーリーの展開に必要と思われるクリップを現場では60ほど撮影しましたが、実際にプロジェクトに採用したのは19のクリップです。魅力的な素材である鐘楼や枯山水の庭なども撮影しましたがプロジェクト編集中に「没!」となりました。インスタグラム動画の1分という尺の制約と、ストーリーに絶対必要なシーンではないとの判断です。「報国寺はこれもあれもありますよ」とするストーリーも魅力的ですし、その場合には鐘楼、枯山水の庭、また茶席のクリップを採用するのは意味があるでしょう。しかし今回の私のストーリーのフォーカスは「竹と光」ですのでクリップを絞って緩慢にならないようにしようと考えました。余談ですが、茶席のある庵についてはそもそも撮影しませんでした。「動画に茶席を入れると ”うけ” がいいよなぁ」という気持ちもありましたが、ここの抹茶(500円)はあまり美味しくないので最初から没となりました。
クリップの選択とシーケンス
実際に採用した19クリップとエンディング・タイトルのスナップショットを以下に並べてみます。何故これらのクリップを選んでこのように並べたのか? その点はコメントとして各クリップに簡単に付与します。シーケンスはクリップとクリップのつなぎ(トランジション)を優先しているので必ずしも撮影した順番ではありません。
最初のクリップはサムネイル的な役割を持ちます。「竹の庭」の中央から上を見上げたシーンで、この動画が竹を主題にしていることを示しています。
前クリップの「竹」とこのクリップの「山門」に「Hokokuji Temple」のタイトルを重ねて「竹の寺」の紹介を始めます。
山門をくぐって報国寺の境内へ。カメラは前進して入山を象徴します。
カメラはさらに前進して参道横の苔の庭へ。光が差してとても綺麗でした。
苔の庭から本堂へつなぐ固定ショット。前クリップの前後の動きをこのクリップの左右に移動するカップルに引き継いでいます。
固定ショットの緑の前庭(竹が奥に見える)を挟み、次の竹の庭へつなぎます。
竹の庭で差し込む光と竹の庭の中に進む人を捉えます。
竹の庭の光と灯籠。前クリップの進む人と同じ方向で、このクリップは左から右に移動し連続を示唆します。
前クリップのアップで竹と灯籠の情景を強調します。
五重石塔と7体の石仏像。前クリップの灯籠と石塔の形によるマッチ・カット・トランジションを意識しています。
石仏像の寄りのショット。
五重石塔を別アングルで捉えます。
五重石塔の寄りのショット。光が揺らいでいるシーンです。
再び竹の庭のシーンへ。前クリップの五重石塔に導かれた視線を当クリップの灯籠が受け止めてつなぎます(マッチ・カット・トランジション)
光に溢れた竹の庭。斜光で画面に変化を与えます。
前クリップの斜光と同じ方向性の光をもった当クリップで繋ぎます
前クリップの石仏像を寄りのショットで強調します。
引きのショットで竹林を大きく描写。前後の動きで奥行を現します。
前クリップの縦に伸びる竹を、当クリップで上に延ばし空までもっていき動画の終わりへ。
動画のエンディング
何故これらの19のクリップが選ばれて、このようなシーケンスになったかを記してみました。これらはこのブログを書いて改めて文字にしましたが、実際の編集作業時は「クリップとクリップをどう繋げると自然な流れになるかなぁ」を意識しているだけです。もっと「自然な流れ」にしたいのですが、それにふさわしいクリップが撮影できておらず、動画編集では妥協せざるを得ないことが大半です。動画は本当に難しいです。
By Jin Shibata
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