
花見の季節だというのに、積極的に外出する気がなかなか起きてこないiTWS japan LLPの高野 雄希です。
ネタが限られる中、今日は資格試験を通したキャリア論について記事を書こうと思います。
当組合のメンバーは全員、全国通訳案内士という、訪日外国人旅行者を対象としたプロの通訳ガイドを認定するために観光庁長官が実施する国家試験に合格しています。
全国通訳案内士はかつて、医師や弁護士、公認会計士のような業務独占資格の1つでした。医師以外の者がメスを握って手術を行うことが許されないように、通訳案内以外の者が通訳ガイド業務に携わることができませんでした。
しかし、インバウンド振興を図る上で外国人旅行者からの幅広い需要に応じるため、業務独占規制は廃止され、名称独占資格になりました。すなわち、有償の通訳ガイド業務は誰でも行えるようになる一方で、無資格者が「通訳案内士」を名乗ることは依然としてできないということです。
こういう事態になると、『通訳ガイド業務を行うために、わざわざ国家資格を取得する必要が本当にあるのか?』という疑問が湧いてくるのはごく自然なことです。ここ数年、全国通訳案内士試験の受験者数が減少傾向にありますが、コロナ禍だけでなく、業務独占資格でなくなったことも、その大きな要因に違いありません。
資格はよく、【足の裏についた米粒】と揶揄されます。取らないと気持ち悪いが、取っても食えないものという大変上手い例えですが、全国通訳案内士の場合、取らなくても気持ち悪くすらならなくなったのかもしれません。
実際には、無資格者よりも有資格者が優先的にエージェントから仕事をアサインされる傾向にありますので、取っても取らなくても変わらないという訳ではないとは思います。
私の場合、現在は資格休止中ではありますが、他の名称独占資格として中小企業診断士試験に合格しております。
この資格は端的に言うと、経営コンサルタントの国家資格になりますが、ご存じのとおり、経営コンサルタントにこの資格の保有が義務付けられてはいません。逆に、この資格を保有していない経営コンサルタントの方が圧倒的に多いものと思われます。
私自身、かつてコンサルティングファームで勤務していた際、この資格の存在をまったく気にも留めていませんでした。
ではなぜ、この資格を取得したいと思ったのかと言うと、大きく3つあります。
その上、合格率4~5%の試験に独学で一発合格することで、自分の学ぶ技術に確信をもてるようになり、その経験を全国通訳案内士試験の勉強に役立てることができた、という副次的な効果もありました。
振り返れば、米国公認会計士や総合旅行業務取扱管理者、応用情報技術者のような『(スキルや経験の客観的な証明のために)積極的に取りたかった』資格、または、TOEICや第一種証券外務員のような『(他者の要請に応じて)取らなければならなかった』資格以外を取得したことがありません。
全国通訳案内士についても、30年以上に及ぶ英語学習の1つの到達点としての証がほしいものの、語学センスに自信がある訳ではないので、好きまたは得意な歴史や地理、雑学の知識を活用したいと思い、受験を決断しました。
『取らないと気持ち悪いから』という動機付けや、『取って食う』だけを目的に取った資格は一つもありません。
資格を取得して食べていくためには、将来性のあるものを選択する必要がありますが、ITやAIによりビジネスの常識が大きく変化していく中でそれを正しく判断するのは容易ではありません。弁護士や公認会計士でさえ、数十年後にどうなっているのか予測もつきません。
したがって、『自分の好きまたは得意なものを組み合わせてキャリアを積んでいくしかないのではないか』と個人的には思っています。
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