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音楽のインバウンド対応について(後)

「早く続きの記事を書いてほしい」と代表組合員からせっつかれたこともありますが、最終回の記事を書かずにいたことは、自分でもずっと気になっていました。前回の記事を書いたのは9月下旬なので、すでに5ヶ月弱が経過。気が付いたら、確定申告の時期がやってきてしまいました(笑)。

時節柄、人混みに身を置く不安がある中、coldrainがポートメッセなごや(名古屋市)にて今月初に主催したフェス“BLARE FEST. 2020”にも無事参戦してきましたので、その感想も併せて記していきたいと思います。

アーティストが主催するフェスに参戦したのは初めてですが、動線とか物販とかファン目線での緻密な運営がなされている印象を強く受け、とても感動しました。coldrainは海外でも精力的に活動しているバンドなので、チケット購入サイトも英語版が用意されていましたし、会場内のステージ間の移動も図示されていて、当日目にした外国人ファンもそれほど苦にはならなかったのだろうと想像します。

これは外タレを多く呼ぶ国内の大型フェスでは当然のことかもしれません。その一方で、日本のアーティストしかいないような多くのフェスでは、チケット購入サイトが日本語のみであることが普通です。お気に入りのアーティストがいくつもいて、「日本のフェスの雰囲気をぜひ味わってみたい」と思ったところで、言語の壁が最初の段階で待ち構えているのです。

フェスでこれなのですから、単独ライブでは日本語の壁はさらに高くなります。チケット購入段階にとどまらず、当日の入場ゲートの列のどこに並んで良いのか分からなかったり、とくにスタンディングの小さな箱でのライブの場合、整理番号のコールが日本語のみなので自分の順番を呼ばれても気づかなかったり―と外国人ファンはとてもストレスフルな環境に置かれます。遠くからわざわざ飛行機に乗って駆け付けるファンのために、英語を話せるスタッフを必要最低限用意したり、数字を書いた紙をめくったり―と運営側ができることがまだあるはずです。

昨年夏に初参戦した秋田県の男鹿ナマハゲロックフェスの場合、もちろんチケット購入サイトは日本語のみ。秋田駅から男鹿駅までの電車は交通系ICカードが使えず、男鹿駅から秋田駅への帰りの乗車券は男鹿駅で並ばなければ買えず、日本人の私でさえ面倒臭さを感じました。会場のオフィシャルグッズ売り場では「モバイル決済が可能」と事前に告知があったので行ってみると、1台しか端末がなく何十分もの待ち行列

パッと見でわかる外国人ファンはいませんでしたが、このフェスに外国人ファンを呼び込むのはかなり高いハードルでしょう。外国人ファンの多いアーティストのラインアップなので、運営側にはもう少し努力していただきたいです。男鹿半島まで来て、外国人ファンがフェス以外にどこも観光せずに秋田県を去るとは到底思えません。何日も滞在してもらって、可能な限り秋田県にお金を落としてもらいましょう‼

なお、男鹿フェスが全体的に不満だった訳では決してありません(笑)。まちおこしの一環として始まったフェスで、とくに最終日の退場時にスタッフが列を作って笑顔のハイファイブで見送ってくださった姿は目に焼き付いています。今年も男鹿フェスに参戦する計画をしていますし、都市型フェスでは決して味わえない、その手作りのアットホームさを是非、外国人ファンにも体験してほしいと思っています。

話はcoldrain主催の“BLARE FEST. 2020”に戻ります。初めてONE OK ROCKをライブで見ることができ、ラウドロックのメジャーなバンドがほぼ出揃い、海外バンドの圧巻のパフォーマンスを目の当たりにする等、運営面にとどまらない、とても初主催とは思えない完成度・満足度の高いフェスに参戦できました。ただし、当日のTwitterへの投稿で気になったのが、「外国人が録画・撮影している」というものでした。確かに私自身も、BAND-MAIDの単独ライブで録画している外国人を目にしたことがあります。海外のフェスでは基本的に録画・撮影が禁止されていないので同じノリでやってしまったのだと思いますが、それが事実ならば、きちんと英語でアナウンスすべきだと思いました。これは単に、日本人ファンが律儀にルールを守っているのがアンフェアに感じるからです。

結論として、私の考えるYouTubeのコメント欄に外国人ファンからの書き込みが多いアーティストがすべきことは、

  1. チケット購入サイトは英語版も用意する
  2. ライブ当日は、英語の話せるスタッフを最低限配置するか、プラカードを掲げたり、整理番号の書いた紙をめくったりーと日本語が分からなくてもすむような案内をする
  3. 物販売り場では、クレジットカード等によるモバイル決済でグッズが購入できるようにする
  4. ライブ中の録画・録音は禁止行為であることをきちんと英語でアナウンスする

といったところです。外国人ファンだけでなく、アーティストや日本人ファンの皆がストレスを感じずライブを楽しめることを、通訳ガイド兼一音楽ファンとして願ってやみません。

全3回で無理に収めようとしたら、いつになく字数の多い投稿になってしまいました(笑)。

有限責任事業組合iTWS japan
組合員 高野 雄希

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