聞き馴染みがない『有限責任事業組合』という事業体や当組合の事業運営、組合員の職掌について、皆様からよくいただく質問と回答を載せておりますので、ご参照ください。
英国で生まれたもので、英語では Limited Liability Partnership と表記され、その頭文字からLLPとも呼ばれます。日本では2005年から制度適用されている比較的新しい事業体になります。
①人を中心にした柔軟な組織運営ができる、②設立時の費用、倒産時のリスクが小さい、③法人格がないので法人課税がない、④同じ資格職・専門職が集まって全体としての信用力・営業力を高めることができる、といった小規模な有志の集まりである組織の設立と運営に最適です。
株式会社の設立費用は最低25万円くらいかかると言われますが、LLPの場合は7万円程度で済みます。また、LLPが倒産した場合、組合員は出資額を最大で失いますが、それ以上の借金や責任を負う必要はありません(有限責任)。その一方で、他の事業体の出資者には有限責任と無限責任があります。無限責任制とは、その事業体が倒産した際に、出資者が出資額を越えて事業体の借金を無制限に負うことを意味します。個人事業主も、実は無限責任を負うことになっています。
株式会社や合同会社等法人の利益には法人税、出資者がその法人から配当を受領した場合には、さらに個人出資者として所得税がかかります(二重課税)。また、法人としての住民税の支払いも避けられません。それに対し、LLPには法人格がありませんので、法人税も法人住民税も課せられません。LLPの利益はその構成員である組合員に直接に分配されて、それにかかる所得税だけが課せられます(構成員課税、パススルー課税)。
法人格のあることのデメリットとしては、法人住民税の支払義務とともに二重課税(法人税を課された上に株主等出資者への配当金へも課税される)問題が挙げられます。これに対し、法人格のないLLPにおいては、法人住民税の支払義務は当然なく、パススルー課税(構成員課税)が適用されるため、二重課税の問題も発生しません。事業上の損失が発生した場合でも、株式会社や合同会社ではその損失を出資者が取り込むことはできませんが、LLPでは出資者の他の事業所得と通算ができ、税負担を軽減することが可能です。
任意団体(例:大学のサークルやPTA)は同じ目的をもつ人々でつくられるものの、法の保護を受けられない私的団体です。その一方で、法律に基づいて設置される、いわゆる「法定組織」が存在します。株式会社や合同会社、NPO法人、学校法人、宗教法人、地方公共団体等がそれに該当します。実はLLPも法定組織の1つであり、当組合も東京法務局で登記手続きを行っています。
任意団体のデメリットは、組織運営がボランティア精神によってなされがちであることです。大概のケースにおいて、組織というのは、貢献度の高い人間と低い人間に分かれます。前者に何がしかの見返り(報酬や地位等)があればまだ救いはあるのですが、それがない場合、貢献度の低い人間への不満が蓄積されたり、心が折れたりします。LLPの場合、全組合員が組織内で何がしかの役割を担わなければならない、という法の定めがあるので、組織にまったく貢献せずに在籍し続けることはできません。
いかなる組織も長所があれば短所もあります。そもそも、①LLPの社会的な認知度は極めて低く、②法人格が存在しないことにより、組合名義で許認可が必要な事業を行うことができません。また、③重要な意思決定は原則、全員一致でなされる必要がある故、大規模な組織にはなりづらく、④存続期間は有期です。登記や会計上の手続きが面倒なため、⑤組合員の頻繁な新規加入・脱退には不向きです。さらに、⑥全組合員が何らかの業務を執行しなければならないのも、資金を拠出し配当を期待するだけの投資家にとっては、まったく魅力的には映らない組織です。
プロフェッショナルガイドを募集しており、全国通訳案内士または地域通訳案内士が必須条件になります。
担当業務は通訳ガイド(対ゲストの条件交渉や契約事務を含む)を中心とした収益事業および自ら提供するサービスに関連する情報発信になります。当組合の運営するWebサイトやSNS等を通じてセルフブランディングを行っていただきます。
当組合のWebサイトは、世界最大級のコンテンツ管理システム「WordPress」に国内の開発業者から有償で購入したテーマを搭載しています。購入したテーマをもとに、過去に本格的なプログラミングの経験がなかった事務局のメンバーが各ページのデザインを行っており、外部の専門家にカスタマイズを依頼していません。プロフェッショナルガイドの方々には、Webサイトの一部ページを操作いただくことになりますが、操作方法や投稿ルール等については、加入後に研修を行いますのでご安心ください。
SNSやYouTube、アメブロ等での情報発信の経験があることが望ましいですが、WordやExcel、Power Pointの操作ができれば大きな問題はありません。
当組合は現状、英語の全国通訳案内士のみで構成されており、使用言語は英語を優遇します。対ゲストの契約書や当組合で定めているガイド業約款については、英語以外の言語に翻訳する予定はありませんので、それを承知の上でご加入いただくことになります。
大変申し訳ありませんが、当組合による品質管理のため、地域通訳案内士の方々が当組合の肩書で通訳ガイド業を行う際には、認定エリアでのサービス提供を行っていただきます。
プロの通訳ガイドとして能動的に情報発信を行い、通訳ガイド契約を受注する意欲のある方を加入メンバーとして想定しています。できれば選考時に、遅くとも加入時までに最低3本のガイドツアーを提供できる方を歓迎します。
むしろ、首都圏以外の通訳ガイドの方々の加入は大歓迎です。各地方に在住する通訳ガイドが、自ら得意とするエリアの観光スポットやイベント等のガイドサービスを高い品質で提供することと、ゲストによるガイドの交通費や宿泊費等の負担軽減が同時に実現できる、と当組合は考えているからです。
プロフェッショナルガイドの方々の出資金は2万円になります。加入登記にかかる登録免許税(1万円)については、出資金から充当する形で全額負担いただきますが、複数の組合員が同日付で加入する場合は均等割り(例えば、2人同時に加入するのであれば1人当たり5,000円、3人同時に加入するのであれば1人当たり3,333円)になります。また、印鑑登録証明書を併せてご提出いただく必要があります。
基本的に、組合を運営する上で必要な経費は出資金から充当されますので、入会金や年会費を別に請求させていただくことはありません。ただし、これまでも、全組合員の同意の下、必要に応じて増資を行うことはありました。
登記手続きの準備や会計上の煩雑な処理を行う必要性及び同日付で加入する組合員が複数存在した方が加入登記にかかる登録免許税の負担が軽減されること等から、加入時期は既存組合員全員の同意がなされた翌月ないし翌々月の1日とします。
加入登記完了後、組合員であることを第三者に対し主張することが法的に可能になります。その上、メンバー固有のメールアドレスと名刺作成時のロゴが使用可能になります。
プロフェッショナルガイドは、通訳ガイド事業を展開する他の組合、株式会社、合同会社、一般社団法人等の法的組織において、従業員やアルバイト、派遣社員等経営に携わらない立場で勤務するのみならず、経営に携わることも可能です。
LLP法の規定により全員一致が要請されている、または、事務局によって全組合員による同意が必要と判断された意思決定以外は、事務局のメンバーに委任していただくことになります。基本的には、毎月開催される定例会で意思決定がなされますが、プロフェッショナルガイドの方々の定例会の傍聴は歓迎しますし、定例会の議事録は当然シェアします。
組合の事業や存続期間の変更、組合員の加入・脱退等が挙げられます。
LLP法で規定されていることですが、やむを得ない場合を除き、組合員は当組合を脱退することができません。『とりあえず加入してみて、気に入らなかったら脱退すれば良い』というようなスタンスは、当人のみならず、他の組合員にとっても悪影響を及ぼします。そのようなお考えであれば、当組合への加入は見送られた方がよろしいでしょう。
上記を踏まえた上で、当人を除く組合員全員の同意を得れば、当組合から脱退することは可能です。登記手続きの準備や会計上の煩雑な処理を行う必要性から脱退時期は当人からの脱退にかかる意思表示のあった3ヶ月後の1日(例:6月20日に脱退の意思表示があれば、9月1日)になります。なお、登録免許税(1万円)等脱退登記にかかる諸経費は、当人に全額負担いただきます。
以下の2つのケースが該当します。
①法令の変更、本件事業計画の変更、重篤な傷病等により、当該組合員が当組合の組合員として関与し続けることが経済的又は実務的に著しく困難となったとき
②他の組合員との間で対立が生じた結果、当組合の事業執行が著しく困難となったとき
マーケティング(WebサイトおよびSNS等)や人事、法務、財務等経営全般に携わっています。ホームページの制作や登記手続きについても、専門家に頼らず、メンバーの知見を活用しています。
通訳ガイドを中心としたプロフェッショナルガイドとしての担当業務に加え、上記の回答にある事務局固有の業務を行います。
同年度の通訳案内士試験に合格後、同じ通訳案内士団体に所属していた、当組合設立時からのメンバーです。また、首都圏在住の全国通訳案内士であり、旅行業務取扱管理者の有資格者という共通点もあります。システム監査技術者や日本山岳協会認定登山ガイド等の有資格者でもあり、各々の個性とキャリアを業務運営に活用しています。
出資金は設立当初が1.8万円、その後2回の増資により現在は3.9万円になっています。その他に、組合設立にかかる登録免許税(6万円)を均等割りで負担しています。これらは、後述の顧問も同様の負担をしています。
まずはプロフェッショナルガイドとして組合に加入していただきます。その後、本人のビジネススキルや意欲等を確認し、事務局のメンバー全員の同意の上で事務局メンバーとなるパスもあります。
事務局の担当業務が多岐に亘っており、経営課題に取り組むだけの時間が既存メンバーだけでは十分に確保できないため、メンバーを増やす予定はあります。
事務局のメンバーが、通訳ガイド事業を展開する他の組合、株式会社、合同会社、一般社団法人等の法的組織において、従業員やアルバイト、派遣社員等経営に携わらない立場で勤務することは可能ですが、経営に携わることは、利益相反行為として禁止されます。
「貢献度が著しく低い」と判断するだけの正当な理由が存在するのが前提にはなります。事務局からは外れるものの、プロフェッショナルガイドとして引き続き当組合に所属するのあれば、当人を除く事務局または当組合の3分の2以上の同意で解任されます。その一方で、事務局から外れるのにとどまらず、当組合からの除名処分を行うとなると、当人を除く組合員の4分の3以上の同意が必要になります。
①組合員がその職務を著しく怠ったとき、②その他組合員を除名するにつき正当な事由があるとき、の2つのケースのいずれかに該当した場合、除名処分を行うことが可能になります。これはLLP法に規定されていることで、全組合員、つまり、事務局のメンバーだけでなく、プロフェッショナルガイドも後述の顧問もその対象になり得ます。なお、登録免許税(現在、1万円)等除名登記にかかる諸経費は、組合員全員の均等割りとします。
現時点において確定している損益分配の割合は、組合契約書とは別に覚書に定めています。ただし、当組合が事業運営していく中で、新たな形態の取引が発生したり、定めた損益分配を修正しなければならなかったりする状況は、今後も十分想定されます。その場合、損益分配の割合に係る項目を適宜追加したり、修正したりすることで柔軟に対応していきます。
当組合におけるすべての事業に伴う決済は、当組合指定のPayPalアカウントや銀行口座等を通して行っています。
組合員と顧客の間での直接的な現金の授受や接待については、組合による管理が事実上、不可能であるため、組合員としてではなく、個人的に行ったものとみなします。
案件毎に収益と費用を計上し、営業利益(収益行為をなした組合員の会計上の利益)を算出します。営業利益は、企業会計と同じく、売上から売上原価を引くことで算出される売上総利益から、さらに販売管理費を控除したものです。
原則的に、組合員のなした営業行為そのものによる収益(ガイド料)と売上原価を合計したものが売上になります。
売上原価は、交通費、食費、宿泊費、拝観料・入園料・体験料等から構成されます。
販売管理費は、PayPal等決済手数料のことを指します。
組合員がゲストから売上原価に相当する費用を現金で受取ることも可能ですが、上記回答にあるとおり、現金の授受は当該組合員の自己責任で行うものとします。すなわち、当該費用を立替え、回収不能になった場合でも、当組合からゲストにアクションを取ることはありません。
営業行為による収益及び売上原価の組合員間の配分については、契約締結前に当該組合員間で合意しなければなりません。
営業行為そのものによる収益の5%を紹介料として受取ることになります。
決済は日本円で行いますが、国内取引を受取るための標準レート(3.6%)と海外取引に追加される割合手数料(0.5%)に加え、受取った通貨に基づく固定手数料40円がかかります。
収益事業にかかるサービスを顧客に提供した後、組合員は組合を通じて顧客に請求する金額の7%を事務手数料としてお支払いいただきます。事務手数料は事務局メンバーで均等割りしますが、逆に言うと、売上が立たないと事務局はボランティアになります。
売上原価に相当する費用を顧客に明示するか否かに関わらず、通訳ガイド行為をなした組合員がその費用を立替払いしていた場合、組合から当該組合員に実際に分配される額は、ガイド料から前述の事務手数料や紹介料、販売管理費を控除したものになります。
レンタルサーバ費用やドメイン維持費、クレジットカード年会費、商標権登録費用のような組合員全員で負担すべき費用については、組合員全員の均等割りになります。
組合員の指定銀行口座への持分の払戻しは、月末締め、翌々月初払いで行いますので、ご希望の場合、事務局にお申し付けください。なお、利益の分配を希望する際に、PayPalから銀行への引出手数料(1回あたり5万円未満の場合、250円)や銀行間の送金手数料等を要する場合、その組合員のみがほぼすべての利益を享受するため、当該組合員に全額負担いただきます。
経営戦略やマーケティングの助言、LLPに固有の会計処理の指南等事務局に対し、全般的な経営支援を行っています。
事務局メンバー同様、顧問も全国通訳案内士であり、当組合設立時からのメンバーです。
顧問もまた組合員ですので、金銭的な報酬は原則的に受け取っていません。ただし、事務局が収益事業に関して組合員から受け取った事務手数料の一部を、事務局の判断に基づき顧問に対して支払うことはあり得ます。
顧問は金融機関及び外資系コンサルティングファームにおいて勤務経験があります。また、中小企業診断士や米国公認会計士の有資格者でもあります。
事務局からは外れるものの、プロフェッショナルガイドとして引き続き当組合に所属するのあれば、当人を除く事務局または当組合の3分の2以上の同意で、顧問を辞めてもらうことは可能です。その一方で、顧問を辞めさせるのにとどまらず、当組合からの除名処分を行うとなると、当人を除く組合員の4分の3以上の同意が必要になります。