昨年、国家試験で3度の勝負をしました。前回報告のとおり、5月下旬と9月上旬のファイナンシャル・プランニング(FP)技能検定と11月上旬の行政書士試験です。
FP技能検定についてはGW中に偶然目にしたYouTube動画で興味をもち、約3週間後に3級、その3か月半後に2級を受検。ともに一発合格しました。
金融機関でキャリアを開始した者として、お金の勉強を網羅的にできることに魅力を感じたのは事実ですが、受検を決意した本当の理由は別にあります。
2022年から行政書士試験を受けてきました。
初年度は完全な準備不足で、会場の雰囲気を味わえただけで十分な記念受験でした。しかし、昨年は感覚的に合格率50~60%での勝負だったので、不合格による精神的なダメージが少なからずありました。
飽きっぽい性格ゆえ、同じ分野をコツコツと勉強し続けられるのか不安を覚えていました。行政書士試験は範囲が広いと言われますが、たとえば10年以上前に合格している中小企業診断士試験と比べれば、それほどでもないです。
また、『過程も大事だが、結果の伴わない過程は価値を認めづらい』と考えており、ここ2年の2戦2敗という結果を突き付けられ、自信が揺らいだのは、正直、否めません。
「2度あることは3度ある」を恐れ、勝ち癖を付けて自信を少しでも取り戻したいという動機がより強かったと思います。
昨年の受験時は不合格だった場合、行政書士試験からの撤退をかなり本気で考えていて、それによって試験本番に過度のプレッシャーを感じることになりました。
FP技能検定の連勝により、『(行政書士試験に今年また失敗したとしても、)小さくても目に見える結果を手にすることができた一年だった』と振り返ることができるようになり、本番前にだいぶ気が楽になったのを覚えています。
夏ごろから喉に不調を覚え、順調に勉強ができない時期が長く続きました。さすがに焦りを覚えましたが、FP技能検定の合格が多少はそれを和らげてくれました。
本試験には、昨年とは違って落ち着いて取組むことができました。
大学入試や総合旅行業務取扱管理者試験で無敗の験担ぎと池袋西口に住んでいたことで土地勘があるため、立教大学を試験会場として選んだのも正解だったと思います。
しかし、それでもなお、300点満点で合格最低点(180点)に限りなく近い182点での合格…(汗)。
当たり前ですが、行政書士試験を攻略した感は全然ありません(苦笑)。

30年以上前の大学1・2年時に民法と商法(当時は会社法が存在していない)に触れたのが、私にとっての法律との初コンタクトでした。
その後、金融機関で勤務し、金融法務や証券取引法(現金融商品取引法)など、さらに米国公認会計士試験ではコモン・ローを含んだビジネス法、総合旅行業務取扱管理者試験では旅行業法、中小企業診断士試験では知的財産法を新たに学びました。
それなりに法律に触れてきたので、行政書士試験にチャレンジするにあたり、大した根拠のない自信をもっていました。
法律系資格のうち相対的に簡単な部類に入る行政書士試験とはいえ、これまで表面的に理解してきたものとは求められる精度が全然違いました。それでも、憲法や行政法を本格的に学ぶことができ、好奇心は十分刺激されました。
1問4点の5肢択一問題を一つでも間違えたら不合格だったことを考えると、1問目の基礎法学にて過去問の記憶がないコモン・ローに関する知識が問われたのは僥倖でした。
試験対策が難しい(法令科目でない)基礎知識が一番得意であり続けたこともそうですが、これまでの人生で学んだ総力をもって、3度目の正直で何とか決めることができたのが率直な感想です。
行政書士試験が年々難しくなっている印象を受けています。司法試験や司法書士試験など法律系上位資格の受験生または合格者が相当数参入しているとの噂を色々なところで耳にします。
来年には四捨五入したら60歳になりますし、健康状態に問題がなければ80歳まで働きたいです。研鑽を積み、1年でも長く法律の専門家としても生きていく所存です。
なお、法律系資格の登竜門と称される行政書士試験に合格しましたが、更なる上位資格を目指す意欲はこの2年半でほぼ消え失せました。
一言でいうと、この分野での才能をまったく感じません(笑)。
法律の勉強は楽しかったのですが、記憶に留めるのが苦痛でした。法律でなく経営学を得意としているのは間違いなく、「好き」と「得意」は別ものであると再認識しました。
「好き」だけど「得意ではない」学問領域で自分がどれだけの成果を出すことができるのか―それと向き合ってきた受験生活でした。
実は、私のビジネス系国家資格チャレンジの旅にはまだ続きがあります。年末年始でFP1級を受検することを決めました。
- 中小企業診断士や行政書士として活動していく上で相乗効果をもたらすに違いない
- 「好き」かつ「得意な」分野の試験である
- 年3回試験が実施される(2級を既に保持しているので、更に気楽に受検できる)
- 2級を名刺でアピールしたくない
以上が決意した理由です。
恐らくこれが旅の最終章になりますが、プレッシャーを感じることなく、しかし真剣に取り組んでいきたいと思います。
令和6年度の行政書士試験における最年長と最年少の合格者は、それぞれ81歳と13歳でした。後者には間違いなく輝かしい未来が待ち受けているでしょうが、私が注目したのは前者の2名の方です。
『80歳を超えて合格しても実務で使う可能性はほとんどないから、無駄だろう⁉』
という反応をした人間が私の周囲にはいました。
しかし、私はまったく違う感想でした。私が現時点でリタイアを想定している80歳を超えてのチャレンジに尊敬の念を抱きました。自分も将来、そうありたいと。
『たとえ明日世界が滅びることを知ったとしても、私は今日りんごの木を植える』
宗教革命の指導者マルティン・ルターの言葉として知られています。
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